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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第4章 逃げられねぇ

エコバッグの中には、新聞紙に包まれたお面が入っている。こいつをどうにか出来ないかと、考えながら駅に向かう。

「これがあると、気分的にゆっくりする気がせん。どこかで処分せんと……」

駅のホームに移動すると、視界にくず入れが入った。

「ここだ!」

くず入れの前に立つと、エコバッグから新聞紙に包まれたお面を出した。

「君とはここでおさらばだ。他の人に拾われな」と声をかけ、くず入れの中に放り込む。

これで良しと、立ち去ろうとした時……、

「ちょっと、すいません」と声が……。

良夫が振り返ると、そこには60代くらいの駅の清掃員の男性が大きな袋を手に、こちらに近付いてきた。

薄汚れた白い軍手をはめた手には、トングが握られ、それをカチカチと鳴らしてくず入れを示す。

「困るんですよ、家庭のゴミ捨てられちゃあ」

「え、あ、いや、違う違う」と良夫は、やや焦りながら答える。

清掃員は、少し声を高めに、

「新聞になんか包んで捨ててはったがな。ダメだよぅ、こっちはちゃんと分別して処分しとるし、手前かかるようなことは遠慮願いたいんやわ」

「あ、まあ、そうですよね。一応は、燃えるゴミだとは思いますが……」

「だったら、包んでるものと別々にしといてもらわんと」

「あぁ、ま、はい。そうですよね」

たしかに、こういった物は無造作に捨てていくわけにはいかない。しかも、駅のくず入れである。

良夫は、くず入れの中に手を入れ、お面を取った。

新聞紙から出せば、燃える物だと証明出来る。

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