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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第4章 逃げられねぇ

「寒っ!」

ヒュッと吹く風が頬をかすると、背筋まで冷気が走る。

早く中に入ろうと、鍵を探す。

「んぉっ?」

なぜか鍵が見付からない。

上着の中、ジーパンのポケットを探るが、どこにも無い。

「ヤバい、落としたか?」と慌てて、エコバッグの中を探す。

中の物をすべて出し、作業服のポケットを探るが、入っていない。エコバッグの底も確かめてはみたが、1円玉が1枚見付かっただけだ。

「え、最悪だぞ……」と新聞紙に包まれたお面を見る。

こいつの祟りか!?

ムシャクシャして、それを放り投げようかとお面を手に取ると……、

『チャリ』

新聞紙の中から、音がしたこと。

「ん?」

なんの音かと、新聞紙を1枚ずつ剥いでみた。

すると、

「えーっ!!」

中から、お面に引っ掛かったキーホルダーが出てきた。

「ちょっと待て……なんで?」

お面を包む時に一緒に入ったとしか、思えなかった。

良夫は、鍵を取り、部屋の中へと入った。

いまいましいお面も、その手にあった。

部屋の電気をつけると、良夫は無言で、お面をこたつの上に置いた。

どうやっても、こいつから逃げられないのか?

ため息と落胆が、良夫を襲う。。

「あっ!」

良夫は、思い出したかのように、テレビのリモコンを取った。

「野球、野球、巨人阪神」

テレビをつけると、まだ放送はしていなかった。

「間に合った」

良夫は、プロ野球の阪神ファンであり、特に巨人戦となると、会社を無理矢理定時に終わらせて帰るくらいに、テレビ観戦を楽しみにしていた。

落胆から、救われた。

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