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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第5章 その顔で歩く

「んもぉ~、くっさいわねぇ」と鈴は、換気扇をつけようとするが、紐を引っ張ってもまったく動く気配がない。

鈴は、仕方なく大きな窓を開けた。

「ちゃんとご飯食べてるのかねぇ?」

部屋を見るだけで、心配事が増える。

押し入れを開けてみる。

山積みになった衣類が、ドンと目の前に現れた。

「これ、洗ったやつ? それともこれから洗うの?」

恐る恐る、匂いを嗅いでみる。強い柔軟剤の匂いが、ドリルのように鼻を刺す。

「なにこれ、柔軟剤だけで洗濯してる? 充分にすすがれてないじゃない、んもぉ~」

その横にはコンビニで買った物と思われる、成人向けの雑誌が何冊もあった。

「こんなのばっかり見て……いい加減、嫁さんもらいなさいよ」

ひとつひとつなにかを見付けるたびに、一言加える。

鈴は、その本と衣類に挟まれている、ある物を見付けた。

なにかしらと、手にとってみる。

それは、お面だった。

「あら、気持ち悪い……なんでこんなのをしまってあるのよ」

顔に当てて鏡を見る。

「お面よねぇ。まさか、いい年してこれで遊んでるんじゃないかしら? まあ、プラモデルの箱積んでるくらいだから」

押し入れの下に積まれた数多くのプラモデルの箱を見て、さらにため息をつく。

「作らないのなら、なぜ買うの?」とプラモデルの箱を見ていると、間から白いネズミが顔を出した。

「あ、ぎいゃゃゃぁぁーーっ!!」

鈴は、大きく驚く。

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