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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第1章 誕生

時間はまだ少しある。良夫は、新聞紙をめくってみた。

「なんだ?」

なにやら、いくつか歪なかたちの大小の穴が、六つほど空いた木製の皿のようなモノが出てきた。

後輩からは、

「壁にかけていれば、厄除けの効果と幸が来るって言い伝えがあるようなんすよ」と聞かされた。

「これが厄除け?」と良夫は、訝しげに呟いた。

今度はそれを、ひっくり返して見る。

「うわっ!」

思わず、目を丸くする。

それは、白地の鬼のような顔に、赤や黄色等の色鮮やかな模様を施したお面だった。目はギョロリと何かを見据え、口には牙があり、大きく開いている。両サイドには、ご丁寧に先の尖った耳までついていた。

「あいつ、タイかバンコクに行ったのか?」

タイもバンコクも同じだ。

見た感じは、東南アジアの国の守り神か、また、その祭事等に使われるようなお面だ。

「邪魔だなぁ……」

これが良夫の、素直な感想だった。

お面の両耳の横に、小さな穴があいている。ここに、紐かゴムを通して自身の耳にかけるなどして使うモノだろう。

「趣味悪い土産だよなぁ……」と良夫は、そのお面を両手で押さえながら顔に当て、目の辺りにある穴を通して部屋の中を見回した。

意外と、よく見えた。

「遊んでる場所じゃない」とお面をはずそうとした。

「……ん?」

はずれない。

「ん? あれ?」

両手で前に引っ張るも、お面は1ミリも動かない。それどころか、手を離しても落ちる気配がない。

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