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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第5章 その顔で歩く

「ひっ!」

良夫は服を掴まれたまま、身を反らす。

「お前、俺ノ名前ヲ知って、顔モ見た」

「誤解やわ……名前なんて呼んでへんし、それにあんたが自ら出てきはったがな……てか、あなたの名前はなんでしょう?」

「俺は、ショーゲン・パル・プンテ」

「あ、自ら名前言うんだ……て、あれ?」

良夫は名前を聞いて、ピンときた。

パルプンテ。それは、夢で聞いた呪文だ。

夢で見たのこの顔は、人物というか、お面だったはず。

「ちょっとすいません、あなた……パルプンテさんて言うの?」

「正確には、ショーゲン・パル・プンテだね」

「あ、パルはミドルネームね……てか、外人!?」

どう見ても日本人だが、日系の血が混ざっているなら、あり得る。

この男のことを知ったとしても、危険な状態であることは変わりない。

服を掴まれてナイフの先を、向けられているのだ。

「いや、あのパルプンテって、日本語にあるのよ。辞書には載ってないけど、ゲームの中の話でその、なんだ」

上手く説明が出来ない。そもそも、パルプンテという呪文が、ゲームの中にあるということを知っているだけで、それがどういうものなのかは、まったく知らない。

また、夢の中で見たお面が外れる呪文だと、この男に説明したとして、おそらく理解はしてくれないだろう。

下手な言い回しをすれば、ナイフの先がまっ赤になる可能性がある。今は、この男を逆上させないように、なんとか落ち着かせなければならない。

「あの、まあ、落ち着いて下さい。実は、このお面が取れないんですよ」

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