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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第5章 その顔で歩く

大きくため息を吐く良夫、その目の先にはお面があった。

「なんなんこれ……つけたら警察沙汰に巻き込まれてとるやん。ロクなことないわぁ……」

良夫は立ち上がり、お面を電柱の下に置き、そのまま立ち去ろうとした。

「…………」

だが、なんとなく付いてきそうな気がした。

「怖っ……やっぱ持って帰ろう」

良夫は、お面を手に取り歩き出した。


その姿を遠くから見ている、二人の人影があった。

一人は、サンタクロースの姿をしている若い男性だ。

サンタは、「彼の世界を救えたかどうか心配して見に来たけど、彼は大丈夫そうだね」と、もう一人の若い男性に聞いた。

「まだ、俺達と一緒だった世界が夢だと思い込んでいるようだ。まあ、彼にとっては夢みたいなもんかな。しかし、昭玄さんの顔をしたバニーガール姿の男が出てくるなんて、思いもしなかった。どう言うことだ?」

「さぁ、たまたま似たような男がこの世界にいたとしか、言いようがないね」とサンタは答える。

「そう言えば……ドラゴンが出なかったな。さすがにドラゴンまでは出てこないか」と若い男性は笑った。

「さぁ……、でも、どこかに出ていた……かもしれないね」

「そうなのか? まあ、どっちでもいいや。さあ、俺達も元の世界に帰ろうぜ」

「うん、そうしましょう。この世界は、彼に任せて大丈夫でしょう。田中良夫さん……いや、お面ウォーカーに」

そう言って、二人はこの世界から姿を消した。

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