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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第6章 ヒーローがいるなら、これもいる。

良夫とすれ違うように、漠間が入ってきた。

「おう、三島くん。ここにいたか」

「博士……よくここがわかりましたね」

「女性に剣道の防具をつけたロボットを見なかったかと尋ねたら、ここにいると聞いたもんでな。もう、商品は完売して、七万三千も儲かったぞ。これで家賃は払える」と漠間は、白衣のポケットから、現金が入った封筒を見せる。

「しかし、博士……コテ・メンドウジャが壊れまして」

「壊れた?」

漠間はメンドウジャの胴体を、調べる。

「博士……暴走してから何人かの人にご迷惑をかけたようで、先ほどお面を顔につけた男性が止めてくれたようで、そのせいで故障を……博士、すいませんでした」と三島くんは、涙声で頭を下げる。

「謝ることはない。むしろ、我々がこれからご迷惑をかけた人に、謝りにいかねばなるまい。それに三島くん、そのお面をつけた人を恨むのではないぞ。こいつを止めてくれたことに感謝をしようではないか。下手をしたら、もっと大きなご迷惑をかけていたかもしれん。これは、まだまだわしの力が足りなかったようじゃ。今度は、もっと研究を重ね、人のためになるようなモノを作ろうではないか」

漠間の長い言葉に眠りそうになりながら、三島くんは、目を潤ませ、「博士、一生ついて行きます」と頭を上げた。

その頃、良夫は、いつの間にか外れたお面を手に持って、場外馬券売り場に向かっていた。

「くそ、ついてないわ……訳わからんロボットにしばかれそうになったり、レースも見れなかったし、最悪やん」

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