お面ウォーカー(大人ノベル版)
第7章 記者
「しょうがないじゃないか。今、出てるんだから」
「映像が浮かぶから言うんじゃねぇっ! 脱糞しながら話す課長が、どこにいる。もう出るよ」
「残尿も全部搾りきった?」
「そっちが出るよって言ったんじゃない、ここから出ます」と言って良夫は手を洗い、トイレのドアの取っ手を握る。
「あ、そうそう、田中くん」と勝重が呼び止める。
「チッ……もう、なんすか?」
「今朝、会社に、田中さんて方は、ここにいますかって、女性から電話があったよ」
「女性?」
「あぁ、うちに田中ってのは、一人しかいないからね」
勝重の話に一瞬、耳が広がったが、良夫には、女性の知り合いはいない。
「誰なんすか? 女性で僕の名前知ってるってのは、アパートの管理人か、うちのお節介な叔母くらいなもんすよ」
「そうか? 若い女性だったなぁ。その人には田中はうちの社員だが、まだ来ていないと伝えておいたよ。ひょっとしたら、またかかってくるかもしれないよ……うひゃっ」
勝重は、突然、裏声を出した。
「勝重……あ、課長。そこの洗浄器、壊れててお湯出ないっすよ」
「あ、急に冷えたのがピュッときたから、私の水戸光圀公がキュッときたよ」
「黄門様に謝れ」
そう言って、良夫はトイレから出た。
「女性かぁ……誰だろ?」
それから、会社には女性からの電話は無かった。
良夫は気持ちがフワフワし、仕事に集中出来ずにいた。
半ば、何かしらの勧誘が会社にかかってきたのではないかとも、考えた。
「映像が浮かぶから言うんじゃねぇっ! 脱糞しながら話す課長が、どこにいる。もう出るよ」
「残尿も全部搾りきった?」
「そっちが出るよって言ったんじゃない、ここから出ます」と言って良夫は手を洗い、トイレのドアの取っ手を握る。
「あ、そうそう、田中くん」と勝重が呼び止める。
「チッ……もう、なんすか?」
「今朝、会社に、田中さんて方は、ここにいますかって、女性から電話があったよ」
「女性?」
「あぁ、うちに田中ってのは、一人しかいないからね」
勝重の話に一瞬、耳が広がったが、良夫には、女性の知り合いはいない。
「誰なんすか? 女性で僕の名前知ってるってのは、アパートの管理人か、うちのお節介な叔母くらいなもんすよ」
「そうか? 若い女性だったなぁ。その人には田中はうちの社員だが、まだ来ていないと伝えておいたよ。ひょっとしたら、またかかってくるかもしれないよ……うひゃっ」
勝重は、突然、裏声を出した。
「勝重……あ、課長。そこの洗浄器、壊れててお湯出ないっすよ」
「あ、急に冷えたのがピュッときたから、私の水戸光圀公がキュッときたよ」
「黄門様に謝れ」
そう言って、良夫はトイレから出た。
「女性かぁ……誰だろ?」
それから、会社には女性からの電話は無かった。
良夫は気持ちがフワフワし、仕事に集中出来ずにいた。
半ば、何かしらの勧誘が会社にかかってきたのではないかとも、考えた。