りさと3人のDoctors
第49章 治療がこわい
「そしたら、まずいつもみたいに深呼吸するよ。吸って〜…」
「すぅ〜…」
「はい、吐いて〜…」
「ふぅ〜…」
「うん、そうそう。力抜けてるよ。」
力む癖がついてしまったりさのために、蒼は最初にりさをリラックスさせるようにしていた。
蒼の優しい声と一緒に深呼吸するこの時間は、りさも心地よく感じて自然と体の力が抜けていった。
「じゃあそのまま呼吸続けててな。」
りさの力が抜けたことを確認すると、蒼は呼吸に合わせて指をゆっくりとりさの中に沈めていく。
「んんっ…、痛い…っ」
まだ半分も入る手前だが、指が入った瞬間にりさは体をこわばらせ痛がって、蒼はすぐに指を抜いた。
1ヶ月治療できなかったとはいえ、これまでに頑張っていた分、ちゃんと力を抜いていれば、本当は痛みなく指1本入る状態なのだが、どうしても恐怖心がりさを邪魔をして痛みすら与えてしまう。