蜃気楼の女
第25章 1週間前
学校の正門前に立つ橋本は、校舎の学園長室と思われる方向に向かって携帯電話を握りしめながら話している。
「あんたがどんだけ汚れた偽善者であるか、俺ほどあんたを知っている人間は存在しない。俺は善良な国民を欺くあんたの教育理念など、いずれ、木っ端みじんに砕いてやるつもりだ。俺はあんたの醜い教育理念を本質から知り尽くした良き理解者だと思わないか?」
「ほう? あなたはわたしを理解した唯一無二の存在というわけですね。わたしの良き理解者として頼もしいお方です。そんなあなたの結論がわたしを偽善者呼ばわりですか? どうしたらそういう結論になってしまうのでしょうね? わたしの教育方針はたくさんの卒業生に喜ばれ、感謝されることは多々あっても批判、批難されたことなど、過去、一度もございません。あなただって、確認はとられているから証拠を提示できないのでしょ? どうか偏見を持たないで、わたしの経歴をちゃんとお調べいただいてから、どうか、改めてわたしに取材を申し込んでいただきたいものです」
「フフフ、今、この門から入っていった女、あれは誰ですか? 外国人のようだが、あんたがどこぞの国から呼び寄せた淫乱な後継者でしょ? 薄汚いこの学校を存続させるために呼び寄せた、どうだ? 図星だろ? あんた、かわいそうに、病気を患って、長くないんだって? 最期くらい改心して死んだらどうなんだ?」
橋本のいつもの一方的な偽善者呼ばわりを聞き、顔をしかめていた田所は、顔を明るくし豹変した。
「あっ、橋本さん、来客がお見えになりましたので、きょうはこの辺で失礼させていただきます、では、ごきげんよう」
田所は持っていた受話器を静かに下ろした。
「ついにこの日が来ましたね、櫻子さん……」
「あんたがどんだけ汚れた偽善者であるか、俺ほどあんたを知っている人間は存在しない。俺は善良な国民を欺くあんたの教育理念など、いずれ、木っ端みじんに砕いてやるつもりだ。俺はあんたの醜い教育理念を本質から知り尽くした良き理解者だと思わないか?」
「ほう? あなたはわたしを理解した唯一無二の存在というわけですね。わたしの良き理解者として頼もしいお方です。そんなあなたの結論がわたしを偽善者呼ばわりですか? どうしたらそういう結論になってしまうのでしょうね? わたしの教育方針はたくさんの卒業生に喜ばれ、感謝されることは多々あっても批判、批難されたことなど、過去、一度もございません。あなただって、確認はとられているから証拠を提示できないのでしょ? どうか偏見を持たないで、わたしの経歴をちゃんとお調べいただいてから、どうか、改めてわたしに取材を申し込んでいただきたいものです」
「フフフ、今、この門から入っていった女、あれは誰ですか? 外国人のようだが、あんたがどこぞの国から呼び寄せた淫乱な後継者でしょ? 薄汚いこの学校を存続させるために呼び寄せた、どうだ? 図星だろ? あんた、かわいそうに、病気を患って、長くないんだって? 最期くらい改心して死んだらどうなんだ?」
橋本のいつもの一方的な偽善者呼ばわりを聞き、顔をしかめていた田所は、顔を明るくし豹変した。
「あっ、橋本さん、来客がお見えになりましたので、きょうはこの辺で失礼させていただきます、では、ごきげんよう」
田所は持っていた受話器を静かに下ろした。
「ついにこの日が来ましたね、櫻子さん……」