蜃気楼の女
第26章 屈強の男・橋本浩一
冷静に考えれば、いきなり自宅を訪問するなど非常識も甚だしい行動である。大抵取材はホテルのラウンジとか、部屋を借りて、カメラマンも同席して行うが通常だった。つい年の歯もいかない女学生だと高をくくった。なぜ、田所はそんな説明をこんな未熟な生徒にさせようと考えが及んだのか。やはり、尚子の父親の力を見せるためだろう。私にはこんな政府高官がバックに付いているのですよ。田所の声が聞こえてきそうだった。何に付け、田所の策略に結びつけてしまいいろいろ考えてしまうが、尚子に聞いた方が早そうだ。橋本は、尚子が取材をするために、なぜ自宅に誘ったのか、その真相を知りたかった。田所から話は聞いているとは言っても、全くの初対面の男を自宅に招くという美少女の目的を知りたかった。尚子みたいな少女が、橋本を自宅に誘い込んで思う存分にレイプする、という驚喜の理由に、橋本は全く思いもよらなかった。
橋本は尚子の部屋に招き入れられた。6畳ほどの洋室でどこにでもありそうな部屋である。勉強机、椅子、本棚、シングルベッドだけの部屋であるが、少女らしい人形がたくさん置かれていた。壁にはドライフラワーが逆さまに敷き詰めるようにつり下げられていた。深く息を吸うとめまいを感じるほどいい香りだった。何かの匂いを消すような香り。香りを吸った橋本は社会的地位の抹殺どころか、物理的に抹殺されるのではないか、という不安を感じた。もしかすると、この部屋の死臭を消すため。
「ねえ、友だちになったからって、いきなり、初めての異性を部屋に招くなんて、きみの本当の目的は何?」
橋本は尚子に聞いた。尚子は驚いた顔をした。
「おじさん、友だちになってくれると言ったのに、嫌だった? ただ、尚子はおじさんが好きだから誰にも邪魔されたくなかったの、静かな部屋でおじさんとゆっくり触れあいたかっただけよ……」
橋本は尚子の部屋に招き入れられた。6畳ほどの洋室でどこにでもありそうな部屋である。勉強机、椅子、本棚、シングルベッドだけの部屋であるが、少女らしい人形がたくさん置かれていた。壁にはドライフラワーが逆さまに敷き詰めるようにつり下げられていた。深く息を吸うとめまいを感じるほどいい香りだった。何かの匂いを消すような香り。香りを吸った橋本は社会的地位の抹殺どころか、物理的に抹殺されるのではないか、という不安を感じた。もしかすると、この部屋の死臭を消すため。
「ねえ、友だちになったからって、いきなり、初めての異性を部屋に招くなんて、きみの本当の目的は何?」
橋本は尚子に聞いた。尚子は驚いた顔をした。
「おじさん、友だちになってくれると言ったのに、嫌だった? ただ、尚子はおじさんが好きだから誰にも邪魔されたくなかったの、静かな部屋でおじさんとゆっくり触れあいたかっただけよ……」