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蜃気楼の女

第27章 後継者・橋本浩一

  3人掛けのソファーに隣り合って橋本と尚子は座っていた。
「ねえ、おじさんって、学園長と同じ考えしていますよね?」
 尚子が隣に座る橋本にそう言いながら、橋本の肩に頭を寄せてきた。
「ねえ、やっぱりキスだけでも、だめかしら?」
「ああ、だめだね!」
 橋本はきっぱり尚子に言い切った。尚子は橋本の顔の前に、自分の唇を橋本に向けていた。橋本は向けられている尚子の額を手のひらで軽く押して離した。
「もう、だめ!」
「ええっ、おじさん、頭、固すぎない? すると…… ここはどうなのかしらぁ?」
 尚子は橋本の股間に手のひらを軽く乗せてからわずかにこすった。思いがけない行動に出た尚子の手に驚いた橋本は、尚子の手首を強く握り、片方の手で尚子の手の甲をピシャリとたたいた。
「キャー! 痛いわぁ! おじさん、手首が折れちゃうじゃないのぉ、もう、痛いわ!」
 尚子は人に初めてたたかれた。親からもたたかれたことのない体に、初めて会ったばかりという橋本にたたかれた痛みに驚いたが、しばらくすると痛みが引くと、絵も知れぬ快感が体に押し寄せてきた。手の甲をたたかれた小さな痛みの刺激によって、尚子のちつがゆっくり収縮し始めた。やがて、ちつのけいれんが全身を駆け巡り、断続的な強烈な電撃へと変化した。感じたことのない快感に戸惑う尚子は、気を失いそうになった。慌ててその場に体を折り曲げてうずくまってこらえた。好きな人に手の甲を軽くたたかれただけで、こんなに感じるなんて自分の体ではないようだった。もし、むちで打たれた痛みならどんなすごい快感が起きるのだろうか、と想像すると、抑えていたムラムラとした気持ちが頭の中をあっという間に占領していく。うずく股間を静めようと、尚子は折り曲げた体をそのままにして、顔だけ橋本に向けた。すると、橋本が怖い顔をしてにらんでいた。

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