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蜃気楼の女

第29章 初めての学園

 そうして、人材を見つけられず、悶々と過ごしてきましたが、3年前、あなたにお会いし、私の中の闇に光がともりました。あなたは、私の光となりました。
 あなたには教育理論など基礎的な知識はありませんが、正義感、包容力、博愛に満ちています。そして、あなたの活動は、悩み苦しむ人へ、あなたが共感した著名人の思想を紹介する、まさに、あなたなりの教育そのものである、と私は感心しました。
 そこで、わたしは、あなたの脳に、私の脳を物理的に移植することで、優秀な後継者を確保する見通しが立ちました。
 その方法は安田尚子さんから後ほど、詳しい説明を受けてください。彼女は医療器具の発明に貢献できる能力を持った優秀な人材です。後継者となったあなたに、教育パートナーとして、力強い右腕になってくれるはずです。
 これからの話は、私の私的なお願いで恐縮なのですが、わたしの妻をあなたに託したい。あたしが彼女に与えられなかった幸福を、あなたが与えていただきたい。彼女は強大な超能力を持っています。若い彼女に、怨念によって、彼女の超能力の制御が破壊され、破壊的な邪心パワーが世界に放出されようとしています。しかし、彼女の制御があなたなら可能です。いや、あなたにしかできない。あなたを後継者にした最大の理由は彼女の超能力の完璧な制御のためです。彼女の超能力者である父親もしのぐほどです。彼の父親である国王は、母国の安全のため、制御が不能となりつつある彼女を、国外追放しました。そんな思惑があることなど、彼女は知るよしもなく、日本に来ました。
 彼女はあなたを必ず愛するようになります。あなたにはそう言う超能力があります。あなたは感じておられないようですが、誰もがあなたに心を開かせることのできる魅力、それは、あなたにしかない超能力です。

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