蜃気楼の女
第30章 尚子と橋本の決意
「田所さんのご家族はいらっしゃるのかな?」
橋本が隣のベッドで眠る田所のしわくちゃな顔を見ながら、尚子に聞くと、1分ほど天井を見ながら沈黙していたが、やっと橋本の顔を見て話し始めた。
「学園長には、わたしが入学した頃、わたしが特別な能力を持っていることを感じ取られたようです。
入学式の翌日、学園長室に呼ばれ、学園長の前に立つと、言われました。「きみは人と比較して変態な嗜好があると思って悩んでいるね?」と、誰にも悟られないように気をつけてきたことに、会った日に、つぶさに指摘され、心臓が止まりそうでした。
橋本が隣のベッドで眠る田所のしわくちゃな顔を見ながら、尚子に聞くと、1分ほど天井を見ながら沈黙していたが、やっと橋本の顔を見て話し始めた。
「学園長には、わたしが入学した頃、わたしが特別な能力を持っていることを感じ取られたようです。
入学式の翌日、学園長室に呼ばれ、学園長の前に立つと、言われました。「きみは人と比較して変態な嗜好があると思って悩んでいるね?」と、誰にも悟られないように気をつけてきたことに、会った日に、つぶさに指摘され、心臓が止まりそうでした。