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蜃気楼の女

第30章 尚子と橋本の決意

 そのときまで、両親が隠し部屋で、何かの行為をしていたのですが、その行為にどんな意味があるのか分かりませんでした。
 中学生になった頃、性教育の授業を受けました。
 でも、授業で聞く性行為が両親のしていることとかなり違うので、よく分からなくなりました。分かることは、二人ともいつも楽しんでいて、最後は二人で抱き合って終わる、と言うことです。だから、その光景を見ると、わたしまで楽しくなって、いつも自室から透視して見てきました。
 中学2年生の時、それが性行為の一種で、一般的な性行為とやり方が違うということが分かりました。世間ではアブノーマルと呼ばれていたようです。でも、わたしは両親のような行為をしてみたい、と気が付くと思うようになっていました。
 中学2年生も終わる頃、隣に住む進一という幼なじみに頼んで両親と同じ行為をしてみよう、と決断しました。本当はこういうことを頼もうと思ったことが、人と違う思考だった、と思います。
 でも、進一となら、両親と同じことをしたいな、と自然に、普通のことのように、思ってしまうんです。おじさん、あたしのような年頃の時、どうでしたか? おじさんのことだから、そんなこと思わなかったですよね。
 きょうまで、進一に対する思いは変わらないです。だから、中学2年生の頃から、両親に頼んで、今も、進一は家庭教師としてあたしのうちに来てもらっています。
 来年学園3年生になったら、毎日、あたしのところへ来てもらうように進一に頼みます。今からそんな計画をしています。そんなまどろっこしいことをしなくとも、あたしの超能力を使えばいいと思われますよね。でも、進一にはあたしの能力が効かないことが分かりました。隣の家とか、遠くにいるときしか超能力が効かないんです。あたしの目の前に進一が来ると、あたしの心臓はドキドキして、超能力がまったく使えなくなるんです。どうしてなのか、おじさん、もう、泣きです。大好きな進一なのに、あたしからキスすらできない。したいのに。

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