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蜃気楼の女

第30章 尚子と橋本の決意

 学園長はそんなわたしのあからさまな性欲を恥ずかしいことではないとおっしゃいました。
「きみは、たぶん、進一くんとしか愛し合えないんだよ。それは運命的な愛だね。きみは彼を心から好きなんだよ。だから、恥ずかしく思うことはない。自分の進一君への思いをいつしか知ってもらって、進一君とすべてを隠さないきみが、愛し合えるようになれるといいね。
 たぶん、進一君もきみを真剣に思っているはずだ。自信を持ちなさい! きみの脳の中で描く進一君の思いが、私には分かるから大丈夫だよ」
 と、力づけていただきました。人の考えていることを知ることができる学園長がおっしゃるのですから、これほど、確かなことはないと、信じて疑いません。だから、ずっと、進一一筋です。あっ、おじさんももちろん好きです。だから、おじさんもあたしの能力が効かないみたいです。本当に好きな人にはあたしの超能力が間近で効かないことは、おじさんも見ての通りで、あたしはおじさんの前では子猫ちゃんよ。
 中学2年生になった頃、両親たちの行為が、世間では正常ではない行為として認識されていることを知ったのですが、そう言う行為を好む人たちを変質者扱いする友人たちを嫌いになり始めました。
 お互いが好きで愛し合っているのに、どうして、こういう形では駄目なの? 愛の表現方法は個人の自由よ。そう言う思いがあたしを周辺の常識的な行為でしか理解できない人間が嫌いになって、友人から距離を置くようになりました。だから、あたしには隣に住む進一しか友人がいなくなって、ますます、彼に依存していくことになりました。彼はいつだって、あたしのわがままを聞いてくれて、あたしの応援をしてくれました。今も、あたしのことを思って、応援してくれています。それがあたしには手に取るように分かります。

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