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蜃気楼の女

第31章 成功した発明と失敗した発明

 周辺諸国から隠れて暮らす虐げられた民族の怨念が作った悪魔のような性暴力が国是として、今日まで平然と続けられている。
 また、隣国で拉致されて行方不明になっている男の家族が、なぜ騒がないのか、という疑問が起こるが、隣国の政府は、拉致を黙認していた。隣国はアラビアーナ国の屈強な女たちに攻め込まれ、自国の男たちのすべてがレイプされて廃人にされてしまう恐怖を感じていた。隣国の男である首脳も例外ではなく、いつ、拉致されるか分からない恐怖をいつも感じていた。それほど、強靱で邪悪な女たち、と恐れられた。自分たちの目でその民の存在を実際認識できないということが、余計恐怖を増加させた。どこに存在するかも分からない国からの攻撃ほど、怖いことはなかった。どこへ反撃すればいいか分からない蜃気楼(しんきろう)の国に住む得体の知れない屈強の女軍団が、いつ攻撃をしてくるか分からないという恐怖。隣国政府はそんな超能力を持った魔性の女がいる国に勝てるわけがない。女たちに対するレイプのうわさが語り継がれてきた。
 その結果、蜃気楼(しんきろう)の女とは一切関わらないこと。多少の生けにえは仕方ないという考えに落ち着いた。だから、隣国の首長たちは拉致された家族から捜索願が出されても捜索中として、騒ぎが大きくならないよう統制した。この隣国首脳の悩みは、国際的に共有され、最高機密として受け継がれた。
 このようにして、アラビアーナ国の存在が隠され続けられてきたことは、アラビアーナ国王の超能力が、いかに驚異的か、ということである。
 しかし、その国王も恐怖するラービア女王妃の存在は国際的な恐怖である。彼女が乱心したとき、世界は終末を迎えることになる。

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