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蜃気楼の女

第33章 再生細胞移植術後

 尚子は櫻子と一緒に橋本を愛していこうと考えていたが、その思惑は外れた。田所のメモリを移植することは成功した。しかし、本体の橋本の脳、体の細胞を邪心に満ちた田所平八郎が乗っ取った。その結果、橋本は好色男、ジゴロ、ひも、すけこましなど、二人にとっては最悪・最低男に変貌していた。
 よって、尚子の橋本を中心とした橋本、櫻子、尚子による3人4脚構想はすっかり消滅した。櫻子の破壊的な邪心が消滅したというのに一寸先はまた闇である。一難去ってまた一難。尚子が頼れる人間は、児玉進一しかいなくなった。自分に好意があるか分からない進一の心を知ることが、尚子にとって最重要課題だった。
「もう、ED男! あたしって、そんなにそそらないの?」
 尚子は隣家で机に向かう進一を、きょうも自室から透視していた。進一はきょうも机に飾った尚子の写真を見ながら、オナニーをしていた。進一は今日も妄想して尚子を犯していたが、それを尚子は知らない。自分が能力を使ってオナニーをさせていると思っていた。
「アアアーー 尚ちゃん、いいよー」
 精が尚子の写真に飛んだ。尚子はその光景を見て、尚子は進一が勢いよくこけしの先っぽから勢いよく射精をしたことを確認すると、自分もそれを見て興奮した。
「あたしの写真に進ちゃんのが掛かったわーー」
 それを透視していた尚子は、進一と一緒にオーガズムに達した。尚子は自分の綺麗な透き通ったほおを右手の指を使って拭った。
「進ちゃん、きょうもいっぱい出してくれたね? 気持ちよかったんだね?」
 尚子は、進一に能力を使ってレイプできたことに満足した。毎夜、尚子は能力者であるゆえ、能力を使って進一をいかせたと、勘違いを繰り返していた。尚子の超能力は進一に働かなかった。進一に能力が効かないのは、進一を心から愛していたからだが、尚子には分からない。恋は、能力者を闇に押し込み、無能力者にすることを。自分の母・ナルミも安田仁を愛したがゆえに、ほぼ、無能力者に成り下がっていた。

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