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蜃気楼の女

第33章 再生細胞移植術後

 安田尚子が性女学園3年生に進級してから、毎日、児玉進一に家庭教師として自宅で学習を見てもらうようになった。尚子は学園から帰宅すると、同じ部屋に進一と二人きりになる。隣の家から見ていた進一とは違い、毎日、隣で肩を寄せる。ときどき、尚子は進一の腕が尚子の腕に当たるように体をなにげに寄せた。腕が少しだけ触れる。
「あっ、進ちゃんの腕が当たったよー」
 尚子は心の中でうれしくて叫んだ。尚子の超魔性能力は進一には通じない。昔から同じ。だから、仕方なく、尚子は、念じて、妄想するだけ。
「ねえ、尚ちゃんさ、東大入試、このままなら、いけるぞ、がんばろ!」
 隣に座る進一が尚子に激励する言葉は、彼の日課になり、呪文となった。尚子はこの進一の発する呪文を毎日浴びる。
「ウヮーーー 進ちゃんのいつもの応援、ありがとう。もちろん、がんばるよ!」
 勇気づけようとする進一をうれしく思う尚子は、脳内で、進一の顔をまだ発達していない乳房を使って抱きしめる。進一は苦しそうに口をパクパクしている。抱きしめられ、動けない進一のズボンの上に、尚子は手のひらを静かに置く。進一が驚いて腰をわずかに動かす。

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