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蜃気楼の女

第33章 再生細胞移植術後

 進一が尚子の両足首を大きく広げながら言う。尚子は苦しそうな顔をして、首を上下に動かし、うなずく。
「尚ちゃん、いい子だよ」
 そうやって、尚子を妄想の中でレイプしていた。二人はそういう似たもの同士だった。お互いが妄想の中で相手に愛情を注いだ。

  *

 山野櫻子は転んでもただでは起きない。櫻子は日本国の乗っ取り計画を粛々と遂行するためのステップを淡々と進めていた。まずは、性女学園を蜃気楼(しんきろう)の国のベースにすることだ。
 イケメン学園長になった田所は、すっかり気をよくしていた。田所は尚子の再生細胞移植術ができる医療用カプセルを使い、男子もイケメンにする美容整形美顔置換術が可能なカプセルの開発や、病気をしない細胞を作るとか、教育とはかけ離れた分野に進出しようと考えていた。邪心に満ちた平八郎の独断場となっていた。その収益で、学園をさらに増築し、学園の全国展開を目標に奔走した。将来、全国都道府県に1校ずつ、性女学園のチェーン校を展開し、性女学園をベースに教育機関のコントロールをし、やがて、立法府の頂点に立つ。日本の青少年の教育は、性女学園だけに統合する。女の支配する蜃気楼の国が完成する。
 櫻子の破壊的な邪心を封じた田所は、日本にとって、世界にとって、山野櫻子以上の脅威として、新たな火種になろうとしていた。
 しかし、尚子はカプセルの開発を自ら封印したので、学園長はカプセルの開発を断念せざるを得なかった。田所の女学園全国制覇の野望は、早くも頓挫する寸前だった。

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