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蜃気楼の女

第35章 現代の安田邸

 だから、尚子と遊ぶことはなくなったが、また、週1回だけ、肩を並べるようになった。週1回、尚子を見ると、さなぎからちょうになるように奇麗になっていくのが目に見えて分かるような美少女になっていった。すると、進一は今までなんとも思っていなかった尚子に対し、みだらな妄想がするようになっていた。健康な思春期の男子であれば当然な成長だった。
 しかし、進一の尚子に対する妄想は、みだらさを逸脱するようなみだらさで、自分の異常さを卑下した。だから、尚子の大学合格を機会に、彼女から距離を取った。
(待てよ…… 大学合格後、尚子の前から姿を消したことが原因なのか?)
 しばらく、考えても、原因はそれしか思い当たらない。
 ここ数カ月間の尚子の進一に対する職場でのエロい挑発行動を見ていた進一は、尚子がこれを手に入れて、毎日のように、抑えきれない性欲のはけ口にするため、ドールを購入したに違いないと確信した。
 しかし、高校生の頃の純真無くな美少女が、今、これを使って、この部屋で、一人、オナニーをして、うめき声を上げている姿を想像した。あの頃の尚子が、このドールを使って体をくねらしている姿を想像していたら、進一の心棒が膨らみ始めてきた。今の尚子は、信じられないくらい、あまりにエロ過ぎる女になった。別の人格に豹変(ひょうへん)した。
(あぁーーー 尚子、そんな、変わり果てた腐女子に、なってしまったんだぁー)
 そう心の中で嘆いた進一は、最近の尚子の進一に対する痴態を思い出していた。
(配達途中、車の中で、いつも白い肌を露出させ、僕に見せつけ、僕を欲情させるかのようだった。あれは、僕に抱いてほしかったんだぁー?)

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