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蜃気楼の女

第35章 現代の安田邸

「全然、大丈夫だよぉーーーー これからも職場でずっと一緒に、同僚として、仲良くやっていこうぅーーー」
 とにかく何かを尚子に言わなければと思っていた進一は、声がうわずっていた。
「ぇえっ 仲良くね? ぅうん、そうだね…… もちろん、仲良くね?」
 尚子は仲良くしていこうという言葉の意味を考えた。どういう形を言っているのだろうか、確認したくなった。
「もう、あたしって、変態だよね、こんなの、作っちゃってぇ…… でも、こんなあたしだけど、変態な尚子を、進ちゃんは好きになってくれる? そういう変態な尚子と仲良くしてくれるって言うことよね? でも、いつも真面目で誠実な進ちゃんも変態になってくれれば…… 仲良くお付き合い、できると思うのよぉ? 職場でも変態なお付き合いすれっば、最高にいいよねぇ?……」
 尚子の積極的な、変態をアピールした愛の告白を聞いた進一は、すぐに、いつもの妄想の展開に入っていたんだ、と直感した。
(なーんだ…… 自分は、今まで、ずっと、妄想モードに入っていたんだ。だいたい、初めから部屋の大きさが現実的ではなかっただろ? これはいつもの妄想モードなんだ。妄想モードなら何を言ってもいいだろぅ。どうせ、また、時間がたてば、真面目な顔をした尚子が目の前に立っているんだ。
 いつものことだ。もう、こうなったら、妄想の世界をとことん楽しんでやるぞぉーー)
 進一は信じられない尚子の言動によって、かなり興奮していた。
「フフー 尚ちゃんがそんなふしだら子だとは知らなかったな。僕もそんなみだらな、変態の尚ちゃんが好きだよ。真面目な尚ちゃんもいいけど…… みだらな変態の尚ちゃんはもっと好きだよー そういうことなら、早くそう言ってほしかったなぁー 遅すぎるくらいだ…… そんな大切なことを今まで隠してたなんて、いけない子だよ…… いけない子には罰がふさわしいな…… お仕置きものだよね? そう思わないかい?」

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