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蜃気楼の女

第35章 現代の安田邸

 変態バージョンになった尚子は自分の考えているお仕置きと、尚子の大好きな進一の言っているお仕置きがどう違うのか、まったく想像ができない。進一のお仕置きが、どんなものか、やはり、本人に確認したくなった。
 なぜなら、尚子には、お仕置きという言葉に異様な興奮がたぎってしまう生い立ちがあった。お仕置きという言葉は、尚子の両親が秘密の部屋でよく使っていた単語だ。幼い頃から何度となく尚子は聞いてきた。進一の言うお仕置きは、その類いの行為なのか。尚子は高ぶりを抑えられなくなった。どんなお仕置きか、と考えると興奮する。尚子は、股間の奥深くが自然に熱を帯びてきていることを感じた。すでに、尚子にはお仕置きがどんなものか、進一の答えを待つ考えがなくなった。
(進ちゃん、あたしにそれをしてほしいぃーー)
 尚子の膝が期待で興奮し、ガクガク震えた。
(ぅんんーー ねぇ…… ねえ…… 進ちゃん、これからそのお仕置きをあたしにーー早くぅぅぅーー)
 尚子は目の前にいる進一の顔にむけ、うらめしそうな目を投げかけた。それを見た進一はにたりと笑った。
「きみはぁー こんなエッチな人形を使って自分をいつも慰めてきたんだぁー? この人形は僕と格好がまったく同じだよなぁー?」
 進一の問い掛けに、尚子は首を左右に大きく振った。
「えぇっ、そんな気のせいよぉー 誰かに似ているように作られているから、そう見えるんじゃないのぉー」
「何だってぇー うそをつくのもいい加減にしろ! どう見ても、僕だろ? こんな人形を作って、きょうは僕がきみをたっぷり、とことん、慰めてやろうな…… さあ、きみが人形といつもやっていることを…… 僕に見せるんだ」
「え? 進ちゃんの目の前でなんか、恥ずかしいよぉ…… できるわけ…… ないでしょぉ……」
「きょうはそのとおりに僕がやってやろうというんだ。きみがいつもしている淫乱な痴態を見せないと、分からないだろぉー?」
 進一に淫乱な痴態と言われた尚子は恥ずかしくなって、顔を真っ赤にした。

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