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蜃気楼の女

第35章 現代の安田邸

「え? 変態にレベルがあるの?」
「まあ、差はほとんどないとは思うけど…… 例えば……」
 尚子は進一に言うと、先ほどの革ひもを握った。
「進ちゃん、これでたたいてみるね……」
 尚子は革のむちを頭上に振りかざすと、進一の腹に向けて振り下ろした。
 ピシャ 
 乾いた音と同時に、進一の腹に激痛が走った。
「痛いー!」
「え? 何? 痛いの? 何それ? いつものあたしの妄想と違うじゃないの? どういうこと? 今日は痛いの?」
「何言ってるの? 尚ちゃん、痛いよー 僕、それ嫌いだなぁー」
「え? 何? おかしいわね。いつものあたしの妄想だとよがってくれるのに? なぜ? なしてぇー? もしかして、これって、妄想ではないの?」
「何だ、尚ちゃんも今までのこと、妄想だと思ってたんだぁー」
 尚子は顔をきょとんと無表情になっていた。そして、段々、顔が真っ赤になってきた。
「嫌よー 恥ずかしいわぁーーー」
 尚子は絶叫すると、体を小さくすぼめて震えだした。しばらく小さくなっていたが、顔を上げて進一の体を見た。
「今いる進ちゃんって、本物なの? ねえ、ちょっとだけ、触っていいかしら?」
 そう言って尚子は、進一の体に近づいてきた。そして、進一の股間で怒張している心棒をじっと見つめて、そっと、手を差し出してきた。
「……し…… 失礼しまーーすぅううー」
 尚子はそう言うと、進一の心棒の先を親指と人差し指でつまんだ。先からは先走りがほとばしり出ていてヌルヌル状態になっていた。
「あっ、なんか、ヌルヌルして、なまめかしいぃわぁ…… これが現実の世界の感覚なの?……」

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