蜃気楼の女
第36章 橋本浩一の記憶
橋本は、田所を取材するため、学園正門前で見張っていたときのことを思い出していた。橋本は正門から20メートルほど離れた銀杏(いちょう)の木陰に立っていた。正門の前に一人の女性が現れ、立ち止まって学園内の様子をうかがっている。
(うわぁーあるんだなぁー 超美人っていうの?)
この女性が山野櫻子と後で分かる。最近のことは思い出せるが、大学生までの記憶が出てこない。過去の記憶が確実に消えていっている。
橋本は再生細胞移植術の施術から、日が経つごとに、記憶ばかりではなく、思い出そうとする気力までなくなりつつあることを感じた。だから、思い出せる記憶が偏ってきていて、また、あの子のことを考えてしまう。あの子との出会いは忘れようもなく衝撃的だった。絶世の美女が正門に入っていき、その去って行く姿を追ってから、元の木陰に戻ろうとすると、橋本の目の前に、いつの間にか、一人の女子高生が立っていた。その子は、美少女というにふさわしい容姿を備えていた。彼女は若々しい姿態を橋本に見せつけるように立っていた。本人にはそんなつもりはないのだろうが、橋本にはそう感じた。
彼女は笑顔を橋本に向けると、頭をゆっくり下げた。立ち居振る舞いが美しく、橋本は彼女の美しさに絶句した。
(先ほどの美女といい、この子といい、この学園は美女を集め、何をするつもりだ。花魁(おいらん)学科で養成された美女軍団のうわさを証明する女子生徒を発見したぞ)と、橋本は喜んだ。
(うわぁーあるんだなぁー 超美人っていうの?)
この女性が山野櫻子と後で分かる。最近のことは思い出せるが、大学生までの記憶が出てこない。過去の記憶が確実に消えていっている。
橋本は再生細胞移植術の施術から、日が経つごとに、記憶ばかりではなく、思い出そうとする気力までなくなりつつあることを感じた。だから、思い出せる記憶が偏ってきていて、また、あの子のことを考えてしまう。あの子との出会いは忘れようもなく衝撃的だった。絶世の美女が正門に入っていき、その去って行く姿を追ってから、元の木陰に戻ろうとすると、橋本の目の前に、いつの間にか、一人の女子高生が立っていた。その子は、美少女というにふさわしい容姿を備えていた。彼女は若々しい姿態を橋本に見せつけるように立っていた。本人にはそんなつもりはないのだろうが、橋本にはそう感じた。
彼女は笑顔を橋本に向けると、頭をゆっくり下げた。立ち居振る舞いが美しく、橋本は彼女の美しさに絶句した。
(先ほどの美女といい、この子といい、この学園は美女を集め、何をするつもりだ。花魁(おいらん)学科で養成された美女軍団のうわさを証明する女子生徒を発見したぞ)と、橋本は喜んだ。