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蜃気楼の女

第36章 橋本浩一の記憶

 この女の子の出現を契機に、橋本は悪い事件を解決できる予感がした。彼女から後光が見えた。取材をし、たくさんの学識者に会っている橋本も言葉を飲むほど、極上の美しさを際立たせるような後光が少女から差していた。外見的な美しさだけではない、内面からあふれた知性や教養を周囲に放つオーラという光が醸し出されている。橋本には彼女が神社仏閣で見る仏様や観音様のように見えた。橋本は少女を見つめながら、股間に痛みを感じた。橋本は自分に驚いた。仏様や観音様に見えた彼女を見て、あろうことか欲情していた。股間の分身が勃起し、それがズボンを押し上げているので、窮屈で痛い。これほどの興奮は初めてのことだった。女子児童を見て欲情している自分に驚くが、さらに、仏様や観音様にも見えた人物を崇拝するどころか、性欲の対象に見ているのは狂っている。この破廉恥な性欲を隠すどころか、観音様に見えた彼女に対し、腰を前に突き出し、槍のように起立しているであろう心棒を彼女にみてもらいたい衝動に駆られた。
(俺は何をしているんだ? 変質者もいいところだ!)
 橋本は、自分の破廉恥な行動に驚いた。美少女は橋本の股間が興奮していることに気が付いたが、逃げるどころか、健康的な白い歯を見せ恥ずかしそうに目を股間に向けた。
「ンーー…… 」
 少女のうなり声にどんな意味があるのか。橋本は彼女が(ンー キャー 変態よぉー)と、叫び声を上げて逃げていく彼女を想像した。ところが、橋本の前に少しずつ歩いて来て、橋本の前で止まった。
 彼女は橋本の脇に垂らした手を両手で握り、自分の胸の前に引き寄せ、橋本の顔を見た。橋本は彼女のあまりに自然な動作にあがなえず、身を任せていた。
(この子は何をするつもりだ? こんな美少女なら何をされてもいい……)と、質実剛健を信条とする橋本を狂わせる妖艶な魅力も、少女にあった。
「おじさんの手って…… 暖かいね。こうして、おじさんの手を握って…… いたいな…… ずっと、こうして、おじさんのそばにいたいなぁ…… おじさんのこと、あたし…… 好きよ…… そのことは絶対、忘れないで……」

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