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蜃気楼の女

第41章 未来に向かって

「うっそー あなたって、顔が天狗(てんぐ)だったコンプレックスで、性欲が起こらないだけでしょ? 女の人にコンプレックスを感じているのよ。その根は深いわ。とっても…… 最初からあたしの魅力に食いついてこないなんて、変だなぁー って、思っていたのよぉー ねえ、邪心さん?」
「何のことだ、わたしは田所平八郎だぞ、ジャシンさんではない、何をたわけたことを言っているぅー」
「そう? まあ、いいわ、これからその心をあたし好みの男にしてあげるわぁー」
 そう言って櫻子は、田所のスーツの袖口からはさみを使って切り裂き始めた。
「おおー 貴様ぁー 何をする気だぁ 体が動かせんぞぉー」
 田所の腕のスーツは切り裂かれ、強じんな筋肉の腕が現れた。さらに胸に向かってはさみを入れていく。盛り上がった大胸筋が現れた。田所は首をめいいっぱい持ち上げて、自分の服が徐々にはがされていく光景を見守っていた。
「お、おい、いったい服を切り裂いて、私をどうするつもりなんだ?」
 櫻子は尚子にはさみを渡してから、田所の顔の前に顔を近づけると、にやりと笑った。
「いっぱい気持ちよくさせて上げて、あたしに首ったけになるのよ、あたしがいなくては生きていけない体になるのよぉ…… ねえ 楽しみでしょ。あなたにはなかった新しい快楽よ。考えただけで興奮してこない? あたしたちを喜ばすこと以外に何の興味もなくなってしまう、すっごく…… 幸せな時間があなたを満たしてくれるのよ……」

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