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蜃気楼の女

第41章 未来に向かって

 尚子と田所の体が口と秘部で、田所の伸ばした舌で尚子の秘部でつながった。櫻子は二人から1メートルほど離れたところで、二人に向かって超念力を発生させた。二人の体が光り始め、やがて、原子になった。どちらが尚子か、田所か、形がなくなった。周囲の空気も原子になっていった。
「平八さん、あなたは天国でゆっくりしてくださいね」
 櫻子がそう言うと「ああ、きみと出会えて良かったよ」そう聞こえた。邪心・田所の精神だけを宇宙空間に転送した。後はまた、元の場所に、それぞれの原子を集めていく。二人の体が輪郭を造り、実態が少しずつ現れてきた。
 田所の寝ている姿が現れた。次に、田所の顔の上にまたがっていた尚子が姿を現した。
「あああーーー おじさん、いい、いいよぉー 気持ちいいよぉー」
 尚子が狂ったようによがっていた。今までと別人のようだった。櫻子はそれを見て、橋本が帰ったことを確信した。そして、田所が永遠に去ったことを確信した。櫻子の目から一筋の涙が流れた。
「平八さん、さようなら…… ありがとう……」
 櫻子は小さな声でつぶやいた。その直後、尚子は急に立ち上がった。
「あーーーん もう、だめ、我慢できない」

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