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蜃気楼の女

第1章 再会

「こんな美しい活動家がいるの? 」
 マスコミで騒がれている山野櫻子。こんな人道的なテーマであるにもかかわらず、櫻子の行動は真面目な生活を送る世間の反感を買った。櫻子がよかれと思ってする行動も、魔性の女のすることだ、と批判された。そんな批判を受けた櫻子は、自分の信じる道を進めるため、数々の有名財界人、知識人らとホテルのスイートルームで、極秘の密着・濃厚会談を行った。あるときは、3人以上で密接・濃厚・密集・密着会談をして、それが世間に報道されて、三密の恥ずかしい女とも揶揄された。児玉はスマホを手に取り、ネットニュースのチャンネルに合わせた。過去、ネットでしか姿を見せなかった櫻子が、国会議事堂正門前に宣伝カーで出現し、ワンボックスカーの屋根の上に元気に飛び乗る光景がモニターに映っていた。水色の超ミニスカートをはき、白のノースリーブのブラウスを着て、ブラウスのボタンを弾き飛ばすようなボリュームに満ちた乳房と、白い脚線美が、聴衆の視線を釘付けにした。
「やりますね、櫻子さま、また、話題作りですね、これ? 」
 いつの間にか尚子が児玉の隣に立ってスマホの画像を並んで見ていた。
「櫻子さまって、昔から大胆で、変わらないね…… 進ちゃんも桜子さまと、また3Pする? 」
 そう言いながら、尚子はスマホを覗くため児玉に更に近づいた。尚子は形のいいとがった胸を児玉の肘にさりげなく押し当てて来た。そう、児玉と尚子と櫻子はそういう親密な関係だったが、児玉は過去の記憶を尚子によって消されていた。

 尚子はなにげなく自分の豊満な胸を児玉の肘に押しつけながら、熱心にスマホを覗き込んでいる。児玉が肘を僅かにずらすと、更に胸のいただきを肘から擦るように移動し、児玉の二の腕に押しつけてきた。児玉は尚子のことを本来、好きでたまらない。しかし、天性の真面目な性格が女性との交流には消極的にさせる。それでも、好意を抱く尚子の柔らかい胸は心地よく感じた。その性格を熟知した尚子は、児玉の自制心を吹き飛ばそうと画策する。そうやって、大好きな進一をいじることが昔からたまらなく好きな性格だった。
「もう、困るな- もう、尚ちゃん、当たってるよ、君は何も感じないのかい? 」

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