蜃気楼の女
第1章 再会
児玉は興奮気味に、生唾を飲み込みながら声を詰まらせた。児玉にはどう考えても尚子が児玉を誘惑しているのではと思う行動を、4月赴任以来、今まで仕事中にさりげなくしてくるのである。配属されて4ヶ月という期間中、何度となく挑発する。先ほどの車の中もそうである。夏とはいえ、ノースリーブの白いブラウスは胸の膨らみが、かなり透けていて黒色のブラジャーまで見えてしまう。そのブラジャーも意図して生地が少ない。動くと乳首がはみ出てしまいそうだ。配達する日は必ずいつもより短いミニスカートを履いてきているし、兎に角、二人きりの配達に限って肌の露出が多い。助手席に座ったときは必ず両膝を運転席に向けてくる。揺れたふりをして、またを大きく開き、パンティーを見せるように声を上げて気を引いている。
「肘に当たってる? ぇえ? ご、ごめんなさい…… あたしの汗が肘に付いて…… ご迷惑でしたよね…… 昔、進ちゃんとあんなにお互いの汗を感じたのに、何を今更って感じ? 気分悪いわよ、進ちゃん」
尚子は悲しそうな目を児玉に向けてきた。尚子の行動は児玉の心を弄んでいるとしか進一には思えなかった。5年前、彼女の東響大学受験の前日から、児玉と尚子の関係が微妙になってしまった。
「え? 汗? いや、そういうことを言いたいわけではなくて…… ほら、きみはもう大人の女性だし、僕はきみのお父さんにしっかり教育してくれるよう頼まれてるし、あまり慣れ慣れしくしていると、他の職員の手前もあるし、お父さんが大臣だし、みんなの目があるし、いい機会だから、言っておこうと思っただけだからね…… そんな悲しそうな顔しないでくれるかなー 」
「肘に当たってる? ぇえ? ご、ごめんなさい…… あたしの汗が肘に付いて…… ご迷惑でしたよね…… 昔、進ちゃんとあんなにお互いの汗を感じたのに、何を今更って感じ? 気分悪いわよ、進ちゃん」
尚子は悲しそうな目を児玉に向けてきた。尚子の行動は児玉の心を弄んでいるとしか進一には思えなかった。5年前、彼女の東響大学受験の前日から、児玉と尚子の関係が微妙になってしまった。
「え? 汗? いや、そういうことを言いたいわけではなくて…… ほら、きみはもう大人の女性だし、僕はきみのお父さんにしっかり教育してくれるよう頼まれてるし、あまり慣れ慣れしくしていると、他の職員の手前もあるし、お父さんが大臣だし、みんなの目があるし、いい機会だから、言っておこうと思っただけだからね…… そんな悲しそうな顔しないでくれるかなー 」