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蜃気楼の女

第5章 蜃気楼アラビアーナ国

 紀元前100年、アラビアーナ国は、クウェート、サウジアラビア、イラクの3国から敵対され、追い詰められた結果、三国の境界に追いやられた。国土面積が極小の国だったが、超能力を備えた少数民族だった。
 アラビアーナ国王・ムクタフィーは周辺国の軍力を束ねるほどの絶対的なパワーと統率力を持っていた。しかし、その超能力に恐怖を抱いていた周辺民族はアラビアーナ人に対し、団結、協力してアラビアーナ国民を抹殺することにした。平和を愛するアラビアーナ人は自分たちの能力を使って、ひっそりと平和に、相互愛を糧に生きることを願っていた。だから、その強大なパワーを見せたりはしなかった。それが仇となった。周辺国は結束しアラビアーナ国に奇襲を掛けてきた。
 善人な能力者、国王・ムクタフィーは己の命を引き換えに、肉眼では見ることのできない国土を異次元空間に己のエネルギーを使って造りだした後、国土を防御するため、己の精神、肉体を使ってシールドした。国王の右腕であった国軍司令官・マスウードはムクタフィーの意思を継承し、蜃気楼アラビアーナ国を統治し、国民から信任を得て、国王の座に着いた。そして、新たにムクタフィーの全能力を継承し、絶大な力を得たマスウードは、自分たちを恐れる周辺民族の記憶の全てを消し去り、アラビアーナ人の生きてきた痕跡を周辺民族の記憶から完全に消し去った。
 以来2000年間、アラビアーナ国はセックスを愛する民として存続し、お互いが愛情を注ぎ合い、尊厳、尊重しながら、周辺国から存在を知られずに平和に暮らしていた。超能力を使った性技は研ぎ澄まされた。しかし、生物たるもの、進化の過程で必ず亜種が出現する。突然変異。愛情の変質者・ラービアは、健やかに両親に育てられていたが、徐々に、亜流主たる邪悪な力を増大させ、未知なる邪悪な力を蓄えていく。自らが制御することができない邪悪な力に恐怖し、もんもんと悩んだ生活を送っていた。

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