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蜃気楼の女

第8章 蜃気楼へのゲート

「ナルミ、ああ、闇だ。きみはいるのか? 大丈夫か? 」
「ふふ、大丈夫よ。10分も待てば、目も元に戻るわ」
 安田はナルミのいると思われる位置に手を伸ばした。暖かな柔らかい肌に手のひらが触れた。未知の世界を目の当たりにして、誘拐、拉致された安田は見えないことで不安が増幅していた。安田の性器に暖かい、穏やかな刺激を感じた。
「アアア…… 」
 こんな不安な状況なのに、ぞくぞくするほどの期待で、軽い刺激で快感を感じてしまう。空港で与えられたび薬の効果なのだろう。
「どう? 視力が回復するまであたしが優しく丁寧に介抱してあげるわ、何も見えない分、注意が中心に集中できるから、すごく感じるはずよ」
 ナルミは安田の中心に顔をかぶせて、性器をくわえてくれているのであろう。ナルミからの刺激を受けた安田の性器は怒張しているはずだ。快感の波が押し寄せる。後頭部を座席のヘッドレストに強く押しつけ、刺激を受けるたびに反応し、背骨をシートに押し付け、胸を前に反り返らせた。両手でナルミの後頭部の髪をつかみ、自分の股間に引き寄せた。もっと、ナルミの口で激しくくわえてほしい願望が頭を支配した。それを察したナルミは、さらに、ゆっくり小刻みに舌を動かしてきた。快感が苦しくて、安田は両手でナルミの髪を強くまさぐる。
「いいよ、ナルミ…… とてもいいよ…… 気持ちよすぎて何もかも忘れてしまいそうだよ。でも、一つだけ、教えてくれないか? 僕が政府の要人だから誘拐したのかい? 」
 ナルミの舌の動きによっていきそうになるが、ナルミは安田を熟知しているかのように、行く手前で刺激をやめる。安田は得も言われぬ幸福感に包まれる。
「あなたが好きだから誘拐したに決まってるでしょ。さっきも言ったけど、父が探してくれたのよ、あたしのご主人様を…… あなたはあたしと契るのよ、もう、仕事のことは忘れてほしいわ…… あなたは今夜、あたしをペットにする儀式をするのよ」
 安田にはナルミの言うことがまるで理解できなかった。
「今夜の儀式ですべてが分かるわ。今は、いっぱい楽しみましょうね」

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