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蜃気楼の女

第11章 蜃気楼脱出

 その翌日、ナルミがあっけなく安田の足下にひれ伏し懇願した。
「どうか、昨夜の所業、奴隷の分際でたてつきましたことを…… あたしをお許しください。奴隷の身のわたしがあなたに反抗したりしてお許しください。どうか、今すぐ、この奴隷を厳しくむちで打ってくださいませ」
 一日でナルミはさらに安田に対し従属化を示した。蜃気楼からの脱出を承諾した。安田はその直後、たくさん、制裁だと言って、ナルミの白い柔肌にむちをいつもより多く打ち据えてやった。いつもより多くむちを打たれ、昨晩、いけなくてもんもんとしたナルミは、堰を切ったように押し寄せた快感の嵐に、身をよがらせた。
「ご主人様、もう、いってしまいそうですーーー 」
「そんなにいいか? いっていいぞ、今日は特別のお仕置きのむち打ちだ。今度、わたしに反抗したら、むち打ちをやめてしまうぞ…… むちを打たれなくなったおまえは、気を狂わして俳人になるぞ」
 さすがのナルミも、鬼気を放つ安田の仕打ちを初めて知って、全身が震えた。ナルミは涙目で首を縦に振り、むちを打たれるたびおえつを上げた。ナルミはこの一件から、むちを打たれるたびに、小さな快感がやってくるようになった。体が変態した。小さな快感が体に蓄積された。安田がむちを止めると、ナルミの全身に官能の嵐が押し寄せ、絶頂に浸りもだえた。ナルミは蜃気楼防衛隊長の職務もすんなりと捨て、安田から受けるむち打ちの快感を心から欲した。それはナルミでしか感じることのない性癖だった。
 安田は極秘のうち蜃気楼を脱出するための画策をした。クウェート石油に赴任していた替え玉の安田はナルミの側近が蜃気楼に連行し、幽閉し、超能力を駆使し、洗脳した。替え玉の安田の、さらなる替え玉を作り上げた。幽閉と言っても、偽安田の偽安田も蜃気楼の女たちによる官能責めによって、あっという間に虜となってしまい、自ら居すわり、官能三昧の生活をおう歌した。これを期に、偽安田は老人になるまで官能の毎日に溺れて生きることになる。
「いいことをしたな。彼は幸せ者だ」
 安田はナルミに心の底から言った。そういう画策が完了し、安田とナルミは蜃気楼の脱出準備を終えた。そして、日本に渡るため、クウェートに移動した。

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