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美しい影

第1章 出会い



「あー、あのさ、俺は金ないからさ。援助を頼むんなら他の人に声かけた方がいいよ」

こんな素朴そうな子でもこういう事をするんだなぁなんて考えながら、やんわりと断る。

「えっと、そういうんじゃないんです。あ、いや、ちょっとはそう思ったんですけど…。そういう事をした事なくて、どうしようか迷ってました…」

急にモジモジしだした姿も何だか白々しく感じてしまう。
あっけらかんと値段交渉するより、純情ぶったほうがバカな男を釣りやすいと考えたのかもしれない。

「ふーん、でも家には帰りたくないんでしょ?けどお金も無いんなら、いずれはそういう事をしないといけなくなるよ。そうなる前に帰った方がいいと思うけどなぁ」

「はい。けど、帰っても…同じだから…」

「ん?家帰っても同じって…?」


俺の疑問の言葉に少女はハッとした表情をする。


「あ、えっと…。すいません、もう行きます。ライターありがとうございました!」

少女はぺこりとお辞儀をして走り出そうとした。

「ちょ、ちょっと待って!」

今度は俺が慌ててその子の腕を掴む。


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