
美しい影
第2章 同棲開始
俺は意を決して、ユカリママの所に1人で相談しに行った。
久しぶりにユカリママに会った。
お好み焼きを食べに行くときはいつも笑顔で迎えてくれるのだが、今回はユカリママも真剣な顔だった。
俺はこれまでの経緯を詳しく話す。
ユカリママは親身になって聞いてくれた。
そうして一つの提案をしてくれた。
行政に
『実家に帰ると性的虐待を受ける可能性がある事』
『実母は見て見ぬ振りをして守ってはくれない事』
『まともな食事を与えず、ネグレクトの可能性がある事』
などを伝え、お好み焼き屋であるユカリママが身元保証人になれば、何とかなるかもしれないと言う。
その場合は俺の家では無く、このお好み焼き屋で住み込みのアルバイトで生活する形にしないと行政は納得してくれないだろうとの事だった。
それを聞いて俺は土下座して頼み込んだ。
「ぜひ、お願いします!色々と手続きが煩雑なのは分かりますが、亜美の人生がかかっています。亜美は住民票も実家のままだし、保険証もなく、病院にも行けません。俺と一緒に居てもこのままでは根本的な問題が解決するとは思えないんです。亜美はずっと色々な事に怯えて生きてきました。母親からは家政婦のように扱われ、学校ではイジメられ、新しい父親にも怯えてました。きっと今だっていつ俺に襲われないかと毎日怯えているかもしれない。亜美にはもう他人に振り回されるだけの人生を卒業させてやりたいんです。宜しくお願いします!」
なぜか、涙が止まらなかった。何でこんなに必死なのかもわからなかった。
ただ、ファミレスで亜美が見せた悲しげな瞳がずっと頭から離れなかったんだ。
