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美しい影

第3章 転機


次の日から俺は動いた。

今までのバントを離脱し、新しいメンバーを探し始めた。

何人かのギタリストに亜美のアカペラを聞かせた。
そして亜美の歌声を最大限に引き出せる音楽を一緒に作ってくれないかと色々なミュージシャンに伝えていった。

皆その歌声に驚嘆しつつも、それぞれがバントを組んでいる為に、本気で協力してもらうには少し時間がかかりそうだった。

なのでまずは亜美に様々なジャンルの邦楽や洋楽を教えて、どんどん聴いてもらう作業を始める。

バンドメンバーは思うように集まらなかったが、その間、俺が亜美にボイストレーニングも行った。
ただ、テクニックに特化させないように細心の注意を払う。
亜美の天性の声質や特長を絶対に失くしてはならない。

そうして少しずつ亜美も大きな声で歌う事ができるようになり、亜美の歌声を聞いた周りの人が驚くという経験を重ねる内に、どんどん歌う事も好きになっていったようだ。


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