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居候と実況者が恋に落ちるまで。

第1章 事実はゲームよりも奇なり!


***

「なにこれ家ってここ?これ家?」

「家ってまぁマンションね」

半ば強引に決まったリンちゃんの従兄弟さんと初対面当日。駅から徒歩10分の巨大な建物の前で私は震えていた。

都内に住んでいて高層ビルなど見慣れているはずだったのに、なんだこの高さは。見上げ過ぎて首が痛い。

「ほら、紗夜!開けて貰ったらから行くよ」

唖然呆然、綺麗で警備員さんがいるエントランスを抜けてエレベーターに乗る。うわ、こんな所にも監視カメラがある…。

「リンちゃん…従兄弟さん株とかやってるの?私とは住む世界が違いすぎて最早恐怖なんだけど…手の震え凄いし…」

「株はやってるか知らないけど、なんか一回トラブルあったみたいでセキュリティがちゃんとしてるここに引っ越したらしいよ」

トラブル…大人しい猫みたいな人だってリンちゃん言ってたけど、引っ越さなきゃいけなくなるくらいのトラブルとは一体。

「さー着いた、」

ピンポーン。聞き慣れたインターホンの音にちょっとだけホッとした。ここは私の世界と同じ音なんだ、なんて思って。

ガチャンと鍵の開いた音がすると、リンちゃんは躊躇いなく扉を引いた。え、勝手にいいの?

「はい紗夜、入って入って」

「あっちょっとリンちゃん…」

グイグイと中に押し込まれながら、リンちゃんの圧が着実にかかってきているのを感じる…。『逃げられないからね』そんな幻聴までする始末だ。…いやこれはもしかしたら小声で言っているのかもしれない。

「お邪魔します…」

「柊真くん?リビング行ってるからー」

リンちゃんは手前の扉越しに家主さんに声をかけると私の手を引いて1番奥へ進んだ。ここがリビ、ング…?

目の前の光景に私は絶句した。

「ほらね、ここには紗夜が必要なの」

リンちゃんのそんな言葉でどうにか意識を保つことが出来たけれど、ここはそう、人が住んでいるようには思えない。

リビングなんて、言われてやっと分かるほど。
見回せば辺りはダンボール箱に謎のクッション、大量のペットボトルキャップがある異常な部屋だった。

「何があったの…」

思わず零れたその台詞。そんな殺人現場の第一発見者じゃないんだから。だけどそれ以外、出てこなかった。

「あ、柊真くん」

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