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居候と実況者が恋に落ちるまで。

第2章 本当は3人暮し、だったり?


***

必要な掃除用具と食材の買い出しを済ませると、気合いを入れるように腕捲りをして。

「よし、まずはダンボールとペットボトルキャップを片付けよ!」

それが終わったら一旦ゴミ出しに行って、リビングと廊下にハタキと掃除機をかける。それでも時間があったら廊下の水拭きをして・・・。

頭の中でどう動いたら効率よく出来るか作業を組み立てる。あ〜でも水周りの掃除もしたいんだよね。見た感じ他と比べて綺麗だったけど。

・・・とりあえずは無心でダンボールを畳んで縛って、ペットボトルキャップをゴミ袋に入れればいいんだから。考えるより手を動かすか。

それにしてもこのペットボトルキャップ、なんでこんなに沢山集めたんだろう。単にゴミ出しをしていないなら他のゴミもあるはずだけど、見当たらないから集めようとして集めたのかな…。

しかもこのキャップたち、水とお茶しかない。それに水は超軟水のあれで、お茶は誰にとは言わないけど選ばれたお茶だけ。相当好きなのか、それとも拘りがある意味でない人なのか。

・・・知らないことが多すぎる。
こんな名前と顔しか知らない、言ってしまえば赤の他人と同じ家で暮らすことになるなんて考えてもみなかったな。

一色さんはどうしてリンちゃんの話を飲んでくれたんだろう。家も仕事も無くす私に情けをかけてくれたから?それともリンちゃんに弱味でも握られてるの?

どちらにせよ、悪いことしちゃったかもしれない。

誰かとご飯を食べることに抵抗感でもあるのかな、他人と関わることを苦手としているように見える一色さんには私の存在は迷惑なんじゃ…。

こうやって1人でいると悪い方悪い方へ考えてしまうのは、治すことが出来ないでいる悪い癖だった。

「ゴミ出しで気分転換、しよ…」

それから独り言が大きいことも同様に。

持てるだけのダンボールと袋いっぱいのキャップを抱えてそっと廊下を歩く。特に言われてないけど静かにしようっと。

『・・・っ…ぁ』

「?」

何か誰かの声がした?

『…あははっ…はっ…』

今度は笑い声。なんだか凄く楽しそう。
でも一色さんじゃないよね、もっと声のトーンが高いし何より一色さんの感じからするとこんな風に笑う所が想像できない。

「何か観ながらお仕事してるのかも」

きっと、そうだ。

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