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優しく繋がる赤い糸

第6章 1st side -Natsume-*Act.6☆

 あらかた準備が整うと、居間はいい感じに暖かくなっていた。

「じゃあ、そろそろ乾杯しようか?」

 夏目はスクリュードライバーの缶を開け、それを萌恵に差し出す。

 萌恵は遠慮がちに、けれども素直にグラスを手に取る。
 静かに注がれるオレンジ色の酒からは、パチパチと炭酸が弾けた。

「私も注ぎます」

 手酌をしようとしていた夏目からビール缶を奪い取った萌恵は、先ほどの夏目のようにグラスにビールを注いでゆく。
 だが、慣れていない萌恵が注ぐと、白い泡がグラスの三分の一を占め、琥珀色の液体はわずかしか入らなかった。

「ありがとう」

 夏目は口元に笑みを湛えながら礼を告げた。
 入れ方が下手であろと、萌恵の一生懸命が何より嬉しかった。

「誕生日おめでとう」

 照れ臭さを覚えながら、夏目と萌恵のグラスを軽くぶつけ合う。

 夏目が泡だらけのビールを一気に煽る一方、萌恵はスクリュードライバーをちびちびと口にしている。

「ちょっと、苦いかも……」

 そう言いながら、わずかに顔をしかめた。
 夏目にはジュースにしか思えないカクテルも、酒初心者の萌恵にはまだ無理があるのだろう。

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