優しく繋がる赤い糸
第6章 1st side -Natsume-*Act.6☆
「どうした?」
「夏目さんって、自炊とかしないんですか?」
「そんなことが気になるの?」
「夏目さんのことは何でも知りたいですから」
ニッコリと無邪気な笑顔を向けてくる萌恵。
あまりにも眩し過ぎて顔を背けたくなったが、また萌恵の機嫌を損ねてしまうことを恐れ、少し視線を落として口元を見つめた。
とたんに、夏目は息を飲んだ。
ほんのりと紅く色付いた唇を目の当たりにし、柔らかそうだ、などと節操のないことを考えてしまった。
(ヤバいな……)
周りからは枯れオヤジ扱いされていても、性欲は人並みにある。
だが、さすがに萌恵に手を出すことには抵抗を覚える。
萌恵が夏目の部屋に行きたいと言い出した時から理性と感情が心の中でせめぎ合い、今まで理性を保ち続けた。
何より、萌恵が夏目に抱かれることを望んでいるとは到底思えない。
萌恵はただ、少女のような純真無垢な気持ちで夏目を想い続けてくれている。
それがよく分かっているからこそ、未だに葛藤を繰り返している。
「――夏目さん?」
ぼんやりとしていたら、いつの間にか萌恵の顔がすぐ目の前にあった。
突然のことに仰天した夏目は、自分でも驚く行動に出てしまう。
両手で萌恵の肩を掴み、勢いに任せて身体を突き飛ばしていた。
夏目の腕力は若い男に比べたら大したものではない。
しかし、華奢な萌恵は簡単にバランスを崩し、そのまま畳の上に仰向けの状態で倒れてしまった。
幸い、障害物はなかったために頭を強くぶつけることはなかった。
だが、障害物があろうとなかろうと、か弱い女子の身体を力任せに倒すなど、あってはならないことだ。
「夏目さんって、自炊とかしないんですか?」
「そんなことが気になるの?」
「夏目さんのことは何でも知りたいですから」
ニッコリと無邪気な笑顔を向けてくる萌恵。
あまりにも眩し過ぎて顔を背けたくなったが、また萌恵の機嫌を損ねてしまうことを恐れ、少し視線を落として口元を見つめた。
とたんに、夏目は息を飲んだ。
ほんのりと紅く色付いた唇を目の当たりにし、柔らかそうだ、などと節操のないことを考えてしまった。
(ヤバいな……)
周りからは枯れオヤジ扱いされていても、性欲は人並みにある。
だが、さすがに萌恵に手を出すことには抵抗を覚える。
萌恵が夏目の部屋に行きたいと言い出した時から理性と感情が心の中でせめぎ合い、今まで理性を保ち続けた。
何より、萌恵が夏目に抱かれることを望んでいるとは到底思えない。
萌恵はただ、少女のような純真無垢な気持ちで夏目を想い続けてくれている。
それがよく分かっているからこそ、未だに葛藤を繰り返している。
「――夏目さん?」
ぼんやりとしていたら、いつの間にか萌恵の顔がすぐ目の前にあった。
突然のことに仰天した夏目は、自分でも驚く行動に出てしまう。
両手で萌恵の肩を掴み、勢いに任せて身体を突き飛ばしていた。
夏目の腕力は若い男に比べたら大したものではない。
しかし、華奢な萌恵は簡単にバランスを崩し、そのまま畳の上に仰向けの状態で倒れてしまった。
幸い、障害物はなかったために頭を強くぶつけることはなかった。
だが、障害物があろうとなかろうと、か弱い女子の身体を力任せに倒すなど、あってはならないことだ。