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優しく繋がる赤い糸

第6章 1st side -Natsume-*Act.6☆

 冷静さを取り戻した夏目は、膝を着いたままの姿勢でそろそろと萌恵に近付く。

「――大丈夫……?」

 恐る恐る訊ねてみた。

 萌恵は夏目の視線を逃れるように、強く瞼を閉じている。

「――痛い……」

 絞り出すように萌恵が呟く。

「凄く……、痛い……」

 もしかして、打ち所が悪かったのだろうか。
 そう思った夏目は、萌恵の後頭部と畳の間に手を滑らせようとした。

「胸が……、痛……」

 萌恵から嗚咽が漏れた。
 両手で顔を覆い、時おりしゃくり上げる。

 夏目の手は宙に浮いたまま止まった。
 やはり――いや、想像以上に萌恵の心は傷付いていた。
 つい弾みで、などというのは決して理由にならない。

 夏目は戸惑った。
 このまま、萌恵を泣かせたままにしておくのか。
 そっとしたい気持ちもないではないが、何もせず放っておくことも出来ない。

「――すまなかった……」

 やっとの思いで口にした。
 恐々と萌恵の額に触れ、壊れものを扱うように優しく撫でる。

「酷いことをしてしまった……。理由が何であれ、君を……、とても傷付けてしまった……」

 言いわけはしなかった。
 否、出来なかった。
 ただ、萌恵の心をどうしたら少しでも癒せるのか。
 夏目は考えた。

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