優しく繋がる赤い糸
第6章 1st side -Natsume-*Act.6☆
「しましょうか?」
萌恵が訊いてくる。主語はなかったが、言わんとしていることはすぐに察した。
「――そんな軽々しく口にするもんじゃないよ……」
「どうして? 私は夏目さんが好き。夏目さんも私が好き。お互いに好き合ってるんですからなんにも問題はないでしょ?」
「いや、だから……」
「それとも、ほんとは私を女として見られないから出来ないんですか?」
「だか……」
言いかけた言葉は、途中で遮られた。
正確には、夏目の唇が萌恵のそれで塞がれている。
ずいぶんとぎこちないキスだった。
萌恵なりに必死で〈女〉を演じようとしているが、全く慣れていないから、萌恵の唾液が夏目の口角から流れ落ちる。
最初はただ、萌恵の口付けを受けているだけだった。
だが、しだいに理性が音を立てて崩れ、気付くと自ら口内で舌を絡ませていた。
長い時間をかけてから、どちらからともなく唇を離す。
初めての、しかも深く絡み合う口付けに、萌恵は朦朧としていた。
「ほんとにいいんだね?」
最後のつもりで問いかけてみる。
ここで拒絶してくれたら、夏目もこれ以上は何もするつもりはなかった。
だが、萌恵は夏目に強くしがみ付いてくる。
口には出さなかったが、最後まで抱いてほしいという意思表示であることは夏目もさすがに察した。
萌恵が訊いてくる。主語はなかったが、言わんとしていることはすぐに察した。
「――そんな軽々しく口にするもんじゃないよ……」
「どうして? 私は夏目さんが好き。夏目さんも私が好き。お互いに好き合ってるんですからなんにも問題はないでしょ?」
「いや、だから……」
「それとも、ほんとは私を女として見られないから出来ないんですか?」
「だか……」
言いかけた言葉は、途中で遮られた。
正確には、夏目の唇が萌恵のそれで塞がれている。
ずいぶんとぎこちないキスだった。
萌恵なりに必死で〈女〉を演じようとしているが、全く慣れていないから、萌恵の唾液が夏目の口角から流れ落ちる。
最初はただ、萌恵の口付けを受けているだけだった。
だが、しだいに理性が音を立てて崩れ、気付くと自ら口内で舌を絡ませていた。
長い時間をかけてから、どちらからともなく唇を離す。
初めての、しかも深く絡み合う口付けに、萌恵は朦朧としていた。
「ほんとにいいんだね?」
最後のつもりで問いかけてみる。
ここで拒絶してくれたら、夏目もこれ以上は何もするつもりはなかった。
だが、萌恵は夏目に強くしがみ付いてくる。
口には出さなかったが、最後まで抱いてほしいという意思表示であることは夏目もさすがに察した。