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優しく繋がる赤い糸

第3章 1st side -Natsume-*Act.3

「夏目さん」

 ハーブティーを一口啜ってから、萌恵はカップを持ったまま夏目に真っ直ぐな視線を注いできた。

 夏目は砂糖もミルクも入っていないブラックコーヒーを口にしたまま、「どうした?」とわずかに首を傾げる。

 萌恵は少しばかり躊躇うような仕草を見せた。
 両手で包み込んだカップに視線を落とし、それを揺すってハーブティーを波打たせる。

 だが、再び顔を上げると、意を決したように口を開いた。

「私、来週の今日でハタチになるんです」

「ああ、もう君もハタチになるのか」

「いえ、〈やっと〉です」

 真顔で強調するように修正され、夏目は肩を竦めた。
 四十を超えている夏目にとって、一年が経つのはとても早く感じるものだが、若い萌恵にはまだまだ緩やかに思えるらしい。

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