優しく繋がる赤い糸
第3章 1st side -Natsume-*Act.3
「ま、何はともあれおめでたいことだね。君もとうとう大人の仲間入りをするわけだ」
「はい」
今度は嬉しそうに頷いてくる。
ニッコリと無邪気に笑うと、ハーブティーをゆったりと啜る。
夏目はそれを眩しそうに見つめながら、「それじゃあ」と言葉を紡いだ。
「来週の今日はちゃんと君の誕生祝いをしないとね。プレゼントは――もっと早くに知っていれば用意出来たんだけど……」
「別に構いません」
萌恵は首を横に振り、カップをテーブルに置いた。
「私は夏目さんと一緒にいられればそれだけで充分ですから。こうしてまめに逢ってもらえるだけでも嬉しいんです」
「そう言ってもらえるのは俺もありがたいけどね」
夏目はコーヒーで口を湿らせてから続けた。
「でも、だからって何もしないわけにはいかないだろ? 俺はこの通りうだつが上がらない男だけど、せっかくの記念日ぐらいは君に何かしてやりたい。それでなくても、君は普段からあまりわがままを言わないんだ。俺の顔を立てるつもりで、たまにはわがままのひとつも言ってくれないか?」
「――ほんとに、いいんですか……?」
おずおずと訊ねてくる萌恵に、夏目は、「もちろん」と首を大きく縦に動かして見せた。
「君の願いはどんなことでも聴こう。あ、海外旅行に行きたい、というのはさすがに無理だぞ? こればっかりは時間的にも金銭的にも厳しい」
「そんな無茶なことは言いませんよ」
萌恵は眉根を寄せながら微苦笑を浮かべる。
そして、少しばかり間を置いてから、思いきったように口を開いた。
「はい」
今度は嬉しそうに頷いてくる。
ニッコリと無邪気に笑うと、ハーブティーをゆったりと啜る。
夏目はそれを眩しそうに見つめながら、「それじゃあ」と言葉を紡いだ。
「来週の今日はちゃんと君の誕生祝いをしないとね。プレゼントは――もっと早くに知っていれば用意出来たんだけど……」
「別に構いません」
萌恵は首を横に振り、カップをテーブルに置いた。
「私は夏目さんと一緒にいられればそれだけで充分ですから。こうしてまめに逢ってもらえるだけでも嬉しいんです」
「そう言ってもらえるのは俺もありがたいけどね」
夏目はコーヒーで口を湿らせてから続けた。
「でも、だからって何もしないわけにはいかないだろ? 俺はこの通りうだつが上がらない男だけど、せっかくの記念日ぐらいは君に何かしてやりたい。それでなくても、君は普段からあまりわがままを言わないんだ。俺の顔を立てるつもりで、たまにはわがままのひとつも言ってくれないか?」
「――ほんとに、いいんですか……?」
おずおずと訊ねてくる萌恵に、夏目は、「もちろん」と首を大きく縦に動かして見せた。
「君の願いはどんなことでも聴こう。あ、海外旅行に行きたい、というのはさすがに無理だぞ? こればっかりは時間的にも金銭的にも厳しい」
「そんな無茶なことは言いませんよ」
萌恵は眉根を寄せながら微苦笑を浮かべる。
そして、少しばかり間を置いてから、思いきったように口を開いた。