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Melting Sweet*Extra

第2章 もう少しだけ*Act.2☆

「――衛也君」

 しばらく沈黙が続いたが、夕純さんが俺の名前を口にした。

「衛也君は、私との結婚を望んでくれているの……?」

 遠慮がちに、けれどもはっきりと訊ねてきた。

 改めて問われ、俺はまた、どう答えていいのか悩んだ。
 正直なところ、結婚のことは全くと言っていいほど考えていない。
 ただ、夕純さんに新たな命が宿ったとなれば、知らんふりなど出来るはずがない。

「責任は取りますよ」

 そう答えるのが精いっぱいだった。

 そんな俺を、夕純さんはどう思っただろう。
 何も言わず、先ほどと同様、俺をジッと見据える。

「――ごめん……」

 しばらくして、夕純さんが謝罪してきた。俺から視線を逸らし、俯きながら訥々と続ける。

「私、とんでもなく調子に乗り過ぎていたのね。衛也君が優しくしてくれるから、ついつい……。でも、結局は衛也君を困らせてばかりで……。
 ほんと、私ってダメだわ。いいトシなんだし、身のほどを知れ、って……ね……」

 全て言い終わらないうちに、夕純さんから嗚咽が漏れ始めた。
 肩は小さく震え、両膝に置いた手を見ると、そこに透明な雫が止めどなく落ちてゆく。

 夕純さんを泣かせてしまった。
 いくら返答に迷ったとはいえ、『責任を取る』なんて突き放すような言い回しは良くなかった。

 俺は泣き続ける夕純さんを神妙な面持ちで見つめていた。
 慰めたい。
 でも、どうしたら傷付いた夕純さんを癒せるのか。

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