Melting Sweet*Extra
第3章 悪戯にはほろ苦い媚薬を*Act.1
◆◇◆◇
会社近くのカフェで三十分以上待っていたら、夕純さんが現れた。
予めメールを入れていたから、仕事が終わってから確認し、慌てて駆け着けたのだろう。
「お疲れ様です」
椅子から腰を浮かせて声をかけると、夕純さんは息を整えてから、「お疲れ」と返してきた。
今度は満面の笑顔付きだ。
「帰り際に高遠君に言われたのよ。『杉本が向かいのカフェで待ってる』って。衛也君からのメールも入っていたから、一分でも早く来ようって思って」
「そんなに慌てなくても良かったのに」
「ダメよ。どんな理由でも待たせてしまったことには変わりないんだから。でも……」
「『でも』、何ですか?」
夕純さんに問うと、夕純さんは俯き、消え入るような声で、「一番の理由は、ちょっとでも長く、衛也君といる時間を作りたかったから……」と告げてきた。
仕事の時とは対照的な可愛い反応だ。
もし、ここが公の場じゃなければ迷わず押し倒しているところだ。
「少し休みましょうか?」
自分の欲望を抑え、あえて冷静に夕純さんに訊ねる。
夕純さんは首を横に振った。
「私はいいわ。それよりも、もっとゆっくり出来る場所に移動しましょう?」
考えるまでもなく、これは夕純さんからの誘い文句だ。
「なら、俺のアパートに来ますか?」
俺の提案に、夕純さんは今度は口元に笑みを湛えながら頷いた。
会社近くのカフェで三十分以上待っていたら、夕純さんが現れた。
予めメールを入れていたから、仕事が終わってから確認し、慌てて駆け着けたのだろう。
「お疲れ様です」
椅子から腰を浮かせて声をかけると、夕純さんは息を整えてから、「お疲れ」と返してきた。
今度は満面の笑顔付きだ。
「帰り際に高遠君に言われたのよ。『杉本が向かいのカフェで待ってる』って。衛也君からのメールも入っていたから、一分でも早く来ようって思って」
「そんなに慌てなくても良かったのに」
「ダメよ。どんな理由でも待たせてしまったことには変わりないんだから。でも……」
「『でも』、何ですか?」
夕純さんに問うと、夕純さんは俯き、消え入るような声で、「一番の理由は、ちょっとでも長く、衛也君といる時間を作りたかったから……」と告げてきた。
仕事の時とは対照的な可愛い反応だ。
もし、ここが公の場じゃなければ迷わず押し倒しているところだ。
「少し休みましょうか?」
自分の欲望を抑え、あえて冷静に夕純さんに訊ねる。
夕純さんは首を横に振った。
「私はいいわ。それよりも、もっとゆっくり出来る場所に移動しましょう?」
考えるまでもなく、これは夕純さんからの誘い文句だ。
「なら、俺のアパートに来ますか?」
俺の提案に、夕純さんは今度は口元に笑みを湛えながら頷いた。