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Melting Sweet*Extra

第4章 悪戯にはほろ苦い媚薬を*Act.2☆

 アパートに着くと、俺は早速スーツから楽なジャージに着替えた。

 一方、俺が着替えている間、夕純さんは途中のスーパーで買い込んだ惣菜や缶ビールをローテーブルに広げている。

「すいません。着替えてから出すつもりだったのに……」

 少しばかり気まずさを覚えて謝罪すると、夕純さんは、「いいのよ」とにこやかに答える。

「ほんとなら、何か作ってあげるべきなんだろうけど、結局手抜きになっちゃったし……」

「それこそ気にすることじゃないですよ」

 俺は夕純さんの隣に胡座をかいた。

「夕純さんは普段、俺よりも仕事を頑張っているんですから。それに、夕純さんに過剰な期待なんてしませんよ」

「――なんか、その言い方もちょっと微妙ね……」

「あ、いや、そんなつもりは……」

 しどろもどろになってフォローしようとすると、夕純さんは肩を揺らしてクスクスと笑った。

「冗談よ。ありがと。いつも私を気遣ってくれて」

 夕純さんが、俺に軽く口付けてくる。
 不意を衝かれ、俺は瞠目したままでそれを受けてしまった。

「そういえば」

 俺の手に夕純さんのそれを絡めながら、ゆったりと言葉を紡いだ。

「今日ってハロウィンだったわね」

 夕純さんが俺に真っ直ぐな視線を注いでくる。

「トリック・オア・トリート」

 いきなり言われ、俺は目を見開いたままポカンとしてしまった。

 そんな俺を、夕純さんはなおも見つめ続けていたが、そのうち、気まずそうに視線をそらしてしまった。

「――ごめん。ちょっと言ってみたかったの……」

 カフェにいた時と同様、頬を赤らめて可愛い仕草を見せられた。

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