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Melting Sweet*Extra

第5章 壊されるほどに*Act.1

「あなたがいないんじゃつまらないですから。だから、適当に理由を作って途中で抜け出してきたんです」

 そう言うと、衛也君はこちらにゆっくりと歩み寄り、そのまま、隣の席の椅子に腰かけた。

「どうですか?」

 パソコンのディスプレイを覗き込むようにして訊ねてくる衛也君に、私は、「もうちょっと」と答える。

「邪魔者が誰もいないお陰で思ったより早く終わりそう」

「それは良かった。と言いたいトコですけど……、まさか、〈邪魔者〉の中に俺も含まれてたりします?」

「さあね」

「そこは否定してくれないと……」

「否定しようがないもの」

「酷いなあ……」

 衛也君は、わずかに私と距離を置く。
 曖昧な返答をしたことで拗ねてしまったのだろうか。
 そう思い、チラリと衛也君を覗うと、真っ直ぐに私を見つめる彼と目が合った。

 私は動揺し、けれども不自然に思われないように視線をディスプレイへと戻す。

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