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Melting Sweet*Extra

第5章 壊されるほどに*Act.1

「あぁ……いい……」

 オフィスという神聖な場所ということも一瞬忘れ、つい、はしたない声を漏らしてしまった。
 咄嗟に、拙い、と気付いたけれどもう遅い。

 衛也君の手が止まった。
 私の破廉恥な声に驚いてしまったのか。

 気まずい沈黙が流れる。
 いくら衛也君のマッサージが上手だったとはいえ、声ぐらい我慢出来なかったのか、と自分の中のもうひとりの私を責める。

 と、衛也君が背中越しに両腕を絡めてきた。

「夕純さん」

 耳元で私の名前を囁く。

「こんな場所で誘おうとするなんて悪い人だ」

「さ、誘ってなんか……」

「ない、って言いきれます?」

 私は答えに窮した。
 誘ったつもりなんてない。
 でも、衛也君の言葉で急に意識してしまったのは確かだ。

「誘っていたとしたら、衛也君はどうするつもりなの?」

 衛也君に責められっ放しなのは悔しい気がして、逆に問い返す。

 衛也君は相変わらず私を抱き締めたままだ。

「そうですねえ……。夕純さんの返答しだいでは、俺も考えなくもないですけど?」

「――何を……?」

「さあ」

 絶対、わざと焦らした。
 完全にからかわれている。

 本当に腹立たしい。
 でも、衛也君の思惑通りになるのも癪だ。

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