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Melting Sweet*Extra

第1章 もう少しだけ*Act.1

「夕純さん」

 部屋に入るなり、俺は例のにごり酒をビニール袋ごと夕純さんに差し出した。

「今日はちょっと冬らしい酒をと思って。これ、夕純さんも気になってたでしょ?」

 夕純さんはそれを受け取ると、ビニール袋を開けて中を確認する。
 と、中身を見たとたん、パッと表情が華やいだ。

「そうそう、これ飲んでみたかったの! 衛也君ありがとう。さすが気が利くわあ!」

 夕純さんは本当に嬉しそうに袋から酒の箱を取り出し、さらに箱から酒瓶を出してコタツの上に置いた。

「私も熱燗用に辛口のお酒を用意してたんだけど、まずはこれね。熱燗はその次に作るわ」

 そう言って、俺にコタツで待つように告げてから、夕純さんは一度、キッチンへと戻る。

 ドアを開けた時から思っていたが、室内いっぱいにいい匂いが広がっている。
 多分、煮物のようなものを作っていたのだろう。
 そのうち、夕純さんが再び、盆を手に戻って来た。
 そこには、ほかほかの肉じゃがが載せられている。
 ちゃんと、ふたり分の深めの皿に分けて。

「肉じゃがなんて今まで作ったこともなかったんだけどね」

 そう前置きしながら、俺の前に箸と一緒にひとつ置く。

「美味しくなかったらはっきり言っていいから。あ、例の玉子焼きも作ってたから。あとはたくあんと野沢菜漬け。お漬物はさすがに買ってきたやつだけどね」

 ケラケラ笑いながら、また、キッチンに引っ込んで部屋へ戻って来る。
 今度は酒を飲むための小さめのグラスも二個持ってきた。

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